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アナリストの視点(国内株式)

「壁」をつくった鉄鋼株指数――需給・業績の両面で足かせ

2011-03-14

 鉄鋼株指数が新たな「壁」をつくり、2010年4月5日の昨年来高値782.05ポイントから遠ざかっている。東証業種別株価指数で、鉄鋼は2月4日、「マド」をあけて急騰した。前日引け後に新日本製鉄<5401>と住友金属工業<5405>が来年10月をメドに経営統合することで合意したと発表し、翌日の株式市場にサプライズ人気を呼んだのは言うまでもない。両社の統合効果期待にとどまらず、業界再編思惑とともに周辺株を巻き込み、鉄鋼株人気に染まった一日であった。

 当日の同指数は一時57.10ポイント高の678.38ポイントと跳ね上げ、引け値は37.84ポイント高の659.12ポイント。昨年6月21日以来の650ポイント台乗せを果たした。ただし、その余韻は乏しく、結局は持ち堪えられなかった。4日は上ヒゲの長い陽線を描き、その後3日連続の陰線。2月中旬の戻り足も鈍く、“一丁上がり”の格好だ。

 鉄鋼株人気は需給面でのシコリもつくった。2月4日の出来高は、新日鉄が1億6,891万株(3日は2,383万株)、住金が2億8,502万株(同1,072万株)。その後は出来高が委縮し、元のレベルまで戻ってしまった。再編思惑に乗った神戸製鋼所<5406>、JFEホールディングス<5411>もしかりである。ボリュームが回復しないと、調整が長引く可能性がある。

 それだけではない。高炉メーカーの主原料となる鉄鉱石、原料用石炭の値上げが収益圧迫要因として立ちはだかる。2月下旬には、原料高懸念のニュースが相次いだ。ブラジル資源メジャーのヴァーレの経営幹部は4月以降の鉄鉱石の販売価格が1〜3月比20%程度上昇する見通しを示した。豪英系資源大手のBHPビリトンは鉄鋼大手に原料炭の一部品種に時価決めを通告。既に月次改定は要請済みだ。新方式の導入が決定すれば、現状の四半期ごとから市場価格連動型となり、業績見通しがますます不透明となる。原料高を受け、鉄鋼大手は4月以降の鋼材価格引き上げに動くが、その交渉は難航しそうだ。

 大手鉄鋼株にとって需給、業績の両面で足かせをはめられた状態といえよう。ただし、高炉大手4社の中で神戸鋼は別格に映る。足元は調整色ながら、唯一昨年来高値を更新(2月16日)した銘柄。米系証券による投資評価・目標株価引き上げがきっかけだが、鉄鋼株フィーバーが終わっても、この株だけは異彩を放っていた。

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 同社は昨年10月に利益見通しの増額に踏み切った。機械事業のコスト削減進展や、アルミ・銅事業の販売拡大によるもので、利益減額に及んだ他の3社とは一線を画す。新日鉄、住金と相互出資を軸に提携関係にはあるが、今回の経営統合に組することなく、独自路線を歩むのも多角化経営の強みが背景にある。低位品の鉄鉱石、原料炭を有効利用できる技術もある。当面は神戸鋼に人気復活を託したいところだ。

(木村 重文)


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