半導体不足に影響を受けていた自動車の生産が回復しつつあるもようだ。７月の貿易統計では輸出額が伸び、部品メーカーの事業環境の改善が期待される。

　財務省が１７日に発表した７月の貿易統計は、自動車の輸出が前年同月比１３．７％増（１．２４兆円）に伸長した。米国向けが８．４％伸びたほか、中国向けも同１８．２％増と急回復。需給の緩んだ半導体をメーカーが確保しやすくなった様子がうかがえる。

　一方、中国でもロックダウン（都市封鎖）後に生産活動が再開しているようだ。６月から自動車取得税が半減され、その効果もあって７月の新車販売台数が前年同月比２９．７％増と２カ月連続で拡大した。ＥＶ（電気自動車）をはじめとする乗用車が大きく伸びている。

　部品メーカーにとって、メーカーのばん回生産は好材料だ。トヨタ自動車<7203.T>系のデンソー<6902.T>は、顧客の減産の長期化を背景に２３年３月期の業績予想を下方修正している。トヨタ系ではトヨタ紡織<3116.T>なども今３月期の収益見通しを引き下げるなど、厳しい業況が続いていた。

　注目銘柄の１つが武蔵精密工業<7220.T>。同社はホンダ<7267.T>を主要顧客とし、ＥＶ化を受けて減速ギヤなどに注力。中国の現地メーカーからも受注している。連結営業損益は今３月期第１四半期が１．１億円の赤字（前年同期は１６．８億円の黒字）と苦しんだが、通期計画（１００億円の黒字）を変更していない。

　ほかにも、直近１カ月の株価の動きがＴＯＰＩＸ（東証株価指数）をアンダーパフォームしている銘柄として、ホンダ系の今仙電機製作所<7266.T>や日本精機<7287.T>、トヨタ系ではフタバ産業<7241.T>、愛三工業<7283.T>などをマークしておきたい。

過去１カ月の騰落率がＴＯＰＩＸにアンダーパフォームした主な自部品株
銘柄（コード）　　　　騰落率
ユタカ技研<7229.T>　　−８．８％
ミクニ<7247.T>　　　　−６．１％
ハイレックス<7279.T>　−４．７％
フタバ<7241.T>　　　　−３．３％
今仙電機<7266.T>　　　−１．９％
ＩＪＴＴ<7315.T>　　　−１．３％
村上開明<7292.T>　　　−０．８％
大同メタ<7245.T>　　　　０．２％
日本精機<7287.T>　　　　１．０％
ヨロズ<7294.T>　　　　　１．１％
豊田織<6201.T>　　　　　１．８％
愛三工<7283.T>　　　　　２．６％
エクセディ<7278.T>　　　３．６％
太平洋工<7250.T>　　　　４．０％
アイシン<7259.T>　　　　４．１％
ＮＯＫ<7240.T>　　　　　４．４％
トヨタ紡織<3116.T>　　　４．６％
東海理化<6995.T>　　　　５．２％
八千代工<7298.T>　　　　５．３％
ＴＯＰＩＸ　　　　　　　６．０％
８／１７現在

提供：モーニングスター社