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アナリストの視点(国内株式)

エヴァンゲリオンの渚カヲルも言っている

2011-07-19

 小さな記事に目が止まったのは、5月初旬のことだった。「神奈川県の住民らが菅首相の違法献金問題を東京地検に告発」。その記事を興味深く読んだのだが、その後、頭の中からすっかり欠落してしまった。

 7月7日の参議院予算委員会で事は起きた。自民党の礒崎陽輔議員が、「菅総理は刑事告発されております。今週、相手方のKさんが東京地検から事情聴取を受けております」と発言、東京地検が捜査に乗り出していることを明らかにした。

 3月初め、前原誠司外相(当時)が京都の在日韓国人女性から政治献金を受けていたことが発覚、外相を辞任した。

 菅首相の違法献金問題は、首相の政治資金管理団体「草志会」が在日韓国人で、神奈川県横浜市内でパチンコ店などを経営する旧横浜商銀信組(現中央商銀信組)元非常勤理事で「通名」の「日本人名」河本善鎬氏から献金を受けていたというもの。3月11日発売の「週刊朝日」がスクープし、朝日新聞も1面トップ記事として取り上げた。

 この問題、同日に発生した東日本大震災で頭の中から“雲散霧消”してしまった。菅首相ご当人もきっと“逃げ切った”と思っていたことだろう。そこに持ってきて、礒崎議員の東京地検の捜査情報は、菅首相にとって“青天の霹靂(へきれき)”だったに違いない。

 7月6日の当欄で「国会会期はなぜ70日の延長だったのか」を取り上げ、菅首相は任期満了まで首相の座にあるかもしれないと書いた。思わぬ反響で、読者はもとよりマスコミからも問い合わせをいただいた。

 しかし、東京地検が菅首相の違法献金問題に本気で取り組むことになれば、“厚顔無恥”な菅首相でも、とどめを刺されるかもしれない。

 このような重大な問題を失念していたとはお恥ずかしい限りだ。ただ、ドイツの心理学者で「忘却曲線」で有名なエビングハウスも“人間は忘れるもの”と証明している。新世紀エヴァンゲリオンの渚カヲルも「ただ、忘れる事が出来るから人は生きていけるのさ」と言っている。

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 事実、1ドル=80円を割り込む円高でも、株価さえ上昇していれば、市場関係者から円高が企業業績に与える悪影響を懸念する声はほとんど出ない。昨年秋に株安の要因をあれだけ円高による企業業績悪化懸念と言っていた人々はどこに行ったのだろう。だが、指摘はするまい。きっと、もう忘れてしまったのだろうから。

(鈴木 透)


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