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アナリストの視点(国内株式)

中国経済は本当に大丈夫か

2010-02-01

 1月26日、「中国人民銀行(中国の中央銀行)が一部の銀行に預金準備率の追加引き上げを指示した」との報道が伝わると日経平均株価は下げ足を速め、前日比187.41円安の1万325.28円と昨年12月21日以来、約1カ月ぶりの安値となった。

 中国人民銀行は年明けの1月18日から、銀行の預金準備率を0.5%引き上げた。高成長を続ける中国で、景気に過熱感が出ていることやインフレリスクに対する予防的な措置だった。しかし、エコノミストや市場関係者の多くは、中国人民銀行はさらなる金融政策を実施するだろうとみていた。それでも、さすがに18日からわずか1週間程度の26日の報道は、市場にサプライズを与えた。

 問題は、中国経済が本当に大丈夫なのかという点。

 開放マクロ経済学者で、1999年にノーベル経済学賞を受賞したロバート・A・マンデルとJ・マルコス・フレミングの「マンデル―フレミングの法則」は、中国では金融政策は十分な効果を上げられないことを示唆している。簡単に説明すると、(1)為替相場の安定(2)自由な資本移動(3)金融政策の独立性――の三つは鼎立(ていりつ)しない(トリレンマの命題)。為替変動相場制の下では、金融政策の効果を上げるために、為替相場の安定を犠牲にする。しかし、固定相場制あるいは通貨同盟(ユーロなど)では、為替相場の安定を優先するため、金融政策の効果は薄れる。中国は為替相場に対して、通貨バスケット制を参考にした管理フロート制を採用しているが、これは限りなく固定相場制に近い。つまり、自由な資本移動も為替相場の変動も限られている中国では、金融政策の独立性(効果)はないということになる。

 さらに、中国では純粋な民間企業は極めて少ない。中国の巨大企業は、例外なく国営もしくは準国営企業だ。2009年、中国はドイツを抜いて世界一の輸出国となったが、この輸出の60%近くは外資系企業によるものであり、中国経済を支えているのは外資系企業と言っても過言ではない。つまり、中国の高成長には多くの危険要素が内包されている。

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 だからと言って、中国の成長を危険視する必要はない。中国には経済成長のもととなる世界一の生産年齢人口がおり、公的債務はGDP(国内総生産)比約16%と低く、財政政策対応力がある。今後も中国は高成長を続けていくのに十分な要素を持っている。しかしながら、中国への投資には、その成長を妄信することなく、注意深く動向を見極めていく用心が必要なのは言うまでもない。

(鈴木 透)


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