投資戦略セミナー どうなる!?トランプ政権下のアメリカ〜世界が注目する「アメリカ」への投資を考える〜投資戦略セミナー どうなる!?トランプ政権下のアメリカ〜世界が注目する「アメリカ」への投資を考える〜

第1部 基調講演

アメリカの最新動向と米国株の投資戦略

様々な角度で分析しても優位性が見いだせる米国株式の魅力 長期で淡々と投資し続けることで大きな投資成果が期待できる

  • エモリキャピタルマネジメント株式会社 代表取締役 
    江守 哲氏

 

 岡三オンライン証券は7月10日、東京・日本橋で投資戦略セミナー「どうなる? トランプ政権下のアメリカ 〜世界が注目する「アメリカ」への投資を考える〜」を開催した。第1部で基調講演を行ったエモリキャピタルマネジメントの江守哲氏は、「アメリカの最新動向と米国株の投資戦略」をテーマに講演した。講演の要旨は以下の通り。

トランプ政権はリスクじゃない、堅調な企業業績という事実に目を向けよ

 2017年は「政治リスクの年」といわれた。トランプ政権の発足、欧州の選挙など多くの政治イベントがあって市場に影響を与えるとされた。しかし、これらのことは年初には分かっていたこと。マーケットに係る人間は、自明のことはリスクとはいわない。また、トランプ政権の政権運営がリスクだといわれるが、はっきりいってトランプ政権はどうでもよい。市場には影響がないと思っている。報道にまどわされないで、しっかりと事実に目を向けましょうといいたい。

 たとえば、2000年以降の世界の構造は、先進国では住宅、消費ブームが起こり、新興国が台頭して「G7」の枠組みが「G20」になった。このようなグローバル化の動きが行き過ぎて、最近では反グローバルの考えが出てきた。昨年のBrexit(英国のEU離脱)であり、トランプ政権の誕生、カタールの断交などに現れている。

 また、2000年のITバブルは低金利による調達コストの低下が企業収益の拡大につながり、投資マネーの米国への流入をもたらした。これが、サブプライム問題以降の金融規制の強化、そして、債務問題の深刻化につながっている。安易な信用供給と、それによる所得格差の拡大は、米国国内の政治的圧力となりトランプ政権を生み出す力になった。世界の貿易赤字のほぼ全てをアメリカが背負っていることへの反発が、米国の保護主義の台頭につながっている。

 グローバル化の副作用として米国の中間層が喪失した。中途半端なスキルの人の需要がなくなり、上位1%の年収1億円の人と、90%を占める年収300万円の低所得層という構造になっている。そして、低所得層はローンを大量に抱えてサブプライムローン問題の影響を大きく受けた。一方、富裕層は借金がない分、痛みが小さかった。そこへFRBの量的緩和が実施され、ハッピーが富裕層に集中するという状況をつくり出してしまった。この状況への不平不満が爆発したのがトランプ氏への支持だった。

対談用写真

エモリキャピタルマネジメント株式会社
代表取締役

江守 哲氏

 トランプ氏は、レーガン元大統領に心酔しているが、レーガン時代と現在は経済状況が異なる。レーガン大統領は、景気の最悪期に就任した、そこで減税や規制緩和を大胆に行って景気の浮揚に努めた。しかし、現在はかつてない好景気だ。トランプ政権が不安定でも景気に与える影響は小さい。実際に、トランプ氏の発言はコロコロ変わる。そのようなトランプ氏の発言を真に受けたり、好き嫌いによって投資判断をしてはいけない。トランプ政権が掲げていた政策は、ほとんど動いていないが、株価は最高値を更新している。

データで明らかな世界景気の向上

 トランプ政権の政策で市場に影響を与えそうなのは、法人税減税だ。トランプ氏は法人税率を15%に引き下げると言っているが、実際には現在の35%が25%程度に落ち着きそうだ。それでも、米国の企業業績へのインパクトは大きく、これによって株価の一段の上昇が期待できる。

 世界の経済状況についてみると、主要国の製造業PMIは、今年6月に好不況の境目である50を上回ってきている。振り返ると、PMIは昨年7月に概ね底入れしている。いろんなイベントがあったものの、景気は堅調だ。これは、主要国の金利でも確認できる。日米独の国債利回りは、昨年7月に底を打って上昇に転じている。インフレ率も徐々に上昇してきている。

 次の利上げはいつなのか? そして、4.5兆ドルに膨らんだFRB(連邦準備制度理事会)の資産をいつ減らし始めるかが注目される。米国の金融政策については、FRB関係者の発言がメディアに取り上げられ、その動きをつかもうと発言内容が様々に解釈されるが、確かなことは、FRBは必ず後追いだということ。経済指標を確認の上で動くということだ。

 米国の市場金利の動向では、米FFレートに連動する2年債と10年債の利回りが開いてきている。過去の経験から、FFレートと2年債、10年債の利回りが等しくなると株価がピークを打っている。現在のところ0.9%程度の差があるので、向こう2年間くらい株価は大丈夫だろう。

 米国の経済指標をみると、消費者信頼感指数などソフトデータ(景況感)は良くなっているのだが、実績値であるハードデータは悪い。特に、新車販売台数の低迷など自動車が心配な状況だ。米国の株式市場の循環と金利や景気指標の関係をみると、現在は「金利低下」と「景気回復」が重なる4番のステージにある。米国GDPの前年同期比伸び率を振り返ると、これまで96カ月プラス成長している。これまでの平均は95カ月間だが、ハイテクバブルの時には120カ月継続した。その時並みと考えると2019年半ばまで拡大が続くことになる。

 米国の企業収益は強い。S&P500の1株当たり利益(EPS)は2ケタで成長している。S&P500のPERは現在18倍、ITバブルの時には25倍まであったので、依然として上値余地がある。NASDAQはピークのPER65倍に対し、現在は21倍だ。これから3倍になってもおかしくない。NASDAQはITバブルの時には、1,000ポイントが5,000ポイントまで5倍になったこともある。大事なことは、データの実績をみて判断することだ。

図表1:米国の株式市場の循環とリターン等

図表1:図表タイトル
  • 出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント作成

どこで買っても10年保有すれば必ずプラスになる米国株への投資

 ダウ平均の長期的な推移は過去に17年サイクルで大きな上昇を演じてきた。今回の上昇局面を2012年スタートとして17年サイクルを当てはめると、次のピークは2029年になり、その時のダウ平均は60,000ドルになる計算だ。

 米国株に投資すると、どこで買っても10年保有すれば投資収益がプラスになる。ITバブルといわれた2000年のピークという最悪なタイミングでS&P500を買ったとしても、10年持てば投資元本は1.15倍になっている。1年間の騰落率ではマイナスもあるが、10年持っていれば2倍程度になっている。淡々と買い続けることが大事だ。

 米国株は世界のGDPの24%を占め、株式時価総額の構成比では37%を占めている。グローバルに株式投資をする場合に米国株式に投資せざるを得ないという存在感がある。また、世界の時価総額トップ30の企業を調べると27銘柄は米国株式だ。

 日米欧の主要株価指数の推移をみても米国株のパフォーマンスの高さが目立つ。米国株の中ではNASDAQのパフォーマンスが際立っている。このように米国株式のパフォーマンスが良い理由の一つが株主還元の姿勢にあると思う。日本企業が収益の半分程度を内部留保していることと比較して、米国企業は収益のほとんどを自社株買いと配当に回して投資家に還元している。

 このように米国株は優位性が多い。長期の投資対象として米国株は魅力的だと思う。トランプ政権への不安が、米国株式市場のリスクと捉えられるかもしれないが、業績が良ければ株価は上昇するというのが基本だと思う。2017年の米国企業収益は11.2%増益の予想、18年も11.8%増益の予想だ。米国企業の業績がしっかりしていることが安心感につながるだろう。

図表2:ダウ平均株価の長期的な推移

図表2:ダウ平均株価の長期的な推移
  • 出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント作成

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